学級締めとは、子どもが「この一年を引き受ける」時間

学級締めというと、
「一年間の成果をまとめること」
「成長を確認すること」
そんなイメージをもつ方も多いかもしれません。

けれど、学級締めで本当に大切なのは、
子どもたち自身が、この一年をどう受け取るかです。

うまくいったこともあれば、
思うようにいかなかったこともあった一年。
楽しかった日も、しんどかった日も含めて、
「自分は、この学級で確かに過ごした」と感じられること。

学級締めは、そのための時間です。

1.Point:学級締めで残したいのは「評価」ではなく「実感」

学級締めは、成績表の延長ではありません。
反省会でも、総括でもありません。

子どもたちに残したいのは、次のような実感です。

  • 「4月の自分と、今の自分は違う」
  • 「うまくいかない中でも、何かを学んでいた」
  • 「この学級で過ごした時間は、無駄ではなかった」

これは、教師が与える評価ではなく、
子ども自身が気づいていく感覚です。

その感覚があってこそ、次の学年で「また頑張ってみよう」という気持ちが生まれます。

2.Reason:うまくいかなかった学級ほど、「意味づけ」が必要になる

学級が思うようにいかなかった一年ほど、学期末・年度末の空気は重くなりがちです。
教師の目には、注意した場面、止められなかったトラブル、うまく整えられなかった時間ばかりが浮かびます。

しかし、子どもたちの中では、教師とは少し違う時間の積み重なり方が起きています。
子どもは、「成果」や「評価」で一年を生きているわけではありません。

  • 朝、教室に入るときの空気
  • 隣の席の子との距離感
  • 失敗したあとに、どう立ち直ったか
  • 誰かの一言に救われた瞬間

そうした小さな経験の連なりとして、一年を生きています。

学級締めで何も語られないと、子どもは無意識のうちに、こう受け取ります。
「結局、うまくいかなかった一年だったのかもしれない」
「この時間は、あまり価値がなかったのかもしれない」
特に、トラブルが多かった学級ほど、声の大きい出来事だけが記憶に残りやすく、静かに耐えていた子、踏みとどまっていた子の時間は置き去りにされがちです。

だからこそ、学級締めでは「結果」ではなく、その中で子どもが何を経験していたのかに言葉を与える必要があります。
意味づけとは、出来事を都合よく肯定することではありません。
「しんどい時間も含めて、 この一年には確かな経験があった」と位置づけ直すことです。
それがあるから、子どもは次の学年で「また人と関わってみよう」「もう一度やってみよう」と前を向けます。

3.Example:子どもが「自分の一年」を引き受け直す学級締め

ある中学校の学級では、学級内のトラブルが続き、授業も落ち着かないまま年度末を迎えました。
教師自身も、「この一年で、何を残せただろうか」と自信をもてずにいたそうです。
学級締めの日、その先生は成果や反省を語ることをやめ、次のような問いを静かに投げかけました。
「この一年、正直しんどいと感じた人も多いと思う。でも、しんどい中で、続けてきたことは何だろう」
すぐに答えが出る問いではありません。
教室はしばらく静まり返っていました。
しばらくして、ある生徒がノートに書いた言葉は「毎日、ちゃんと学校に来た」でした。
別の生徒は、「嫌なことがあっても、途中で投げなかった」と書きました。

教師はそれを拾い、こう言葉を添えました。
「それは、誰にでもできることじゃない。この学級の中で、確かに起きていたことだと思う」
その瞬間、これまで“評価されなかった時間”だったものが、意味のある経験として浮かび上がります。

また別の小学校では、学級締めに「このクラスで助けられた場面」を思い出す時間をとりました。
発表は求めません。
心の中で振り返るだけです。
後日、ある子が「このクラス、うるさかったけど、 困ったときに声をかけてくれる人はいた」と話してくれたそうです。
それは、「完璧な学級だった」という評価ではありません。
けれど、「この学級で過ごした自分の時間には意味があった」という実感です。

学級締めで大切なのは、美しいまとめではなく、子どもが自分の一年を引き受け直すこと。
その引き受けがあってこそ、次の学年への一歩が踏み出せます。

4.Point:意味ある学級締めのために、教師が意識したいこと

学級締めで、教師が意識しておきたいのは次の視点です。

  • 成果よりも、過ごした時間そのものに光を当てる
  • できた・できなかったで切り分けない
  • 子ども同士の関わりの中で生まれた学びを拾う
  • 「この学級で過ごした意味」を言葉にする手助けをする

感動的にまとめる必要はありません。
立派な言葉もいりません。

「この一年を、ここで区切る」
その丁寧さが、子どもの中に残ります。

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